HOME > ゲスト・トーク > コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)農業アドバイザー カルロス・A・ウリベ博士、オラシオ・モントーヤ氏

Image85

コロンビアのコーヒー農民は
日本人に似ている。

 10月、ビッグサイトで開催されたスペシャリティコーヒーの展示会「SCAJ2008」と日本市場視察のために来日された、FNC農業アドバイザーのカルロス・A・ウリベ博士と、コーヒー農家のオラシオ・モントーヤ氏にコロンビアのコーヒー作りについてお話を伺いました。

コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)
農業アドバイザーカルロス・A・ウリベ博士

コーヒー農家
オラシオ・モントーヤ氏

FNC、最も成功したNPOの一つ

入場者の足を止めさせたエメラルドマウンテンの香り

入場者の足を止めさせたエメラルドマウンテンの香り

10月15〜17日、日本国内外132のブースで賑わったSCAJ2008

10月15〜17日、日本国内外132のブースで賑わったSCAJ2008

コロンビアコーヒー生産者連合会(Federacion Nacional de Cafeteros de Colombia)FNCは、1927年コーヒー生産者が自ら立ち上げ、現在では50万世帯以上のコーヒー農民(カフェテロ)が参加する非営利組織です。FNCの80年にわたる活動はコーヒーの品質と農民の生活向上・社会貢献に大きな実績を上げ、現在では世界で最も成功したNPOの一つとして各国の注目を集めるまでとなりました。

特にコーヒーの品質改良については世界屈指の研究機関、国立コーヒー研究所を運営し、その研究結果は、専門の農業アドバイザーがカフェテロを直接指導するという方法で伝えられます。この方法は、世界市場でコロンビアコーヒーの評価を大きく上げることとなり、その成果の一つが芳醇な香りと味わいでコロンビアコーヒーの精華と評される「エメラルドマウンテン」といえます。

10月、ビッグサイトで開催されたスペシャリティコーヒーの展示会「SCAJ2008」と日本市場視察のために来日された、FNC農業アドバイザーのカルロス・A・ウリベ博士と、コーヒー農家のオラシオ・モントーヤ氏にコロンビアのコーヒー作りについてお話を伺いました。

 

アンデスの山懐に抱かれて

オラシオ・モントーヤ氏

オラシオ・モントーヤ氏

モントーヤ氏の農園があるカルダス州マニサレス

モントーヤ氏の農園があるカルダス州マニサレス

カルロス・A・ウリベ博士

カルロス・A・ウリベ博士

Image1

Mr.モントーヤ:縦に走るアンデス山脈中ほどにあるカルダス州マニサレスのコーヒー農家で、農園は標高1800メートルにあります。私はコーヒー農家の息子に生まれ、親のあとを継ぎ、死ぬまでコーヒー農民でいたいと願い、コロンビアのコーヒー生産者であることを誇りに思うカフェテロです。

— コーヒー作りで大変なことはなんでしょうか。

Mr.モントーヤ:最近の気候変動でなかなか花が咲かなかったり、コーヒー生産は自然大きく影響されますから、そういう心配は常にあります。

— 農業アドバイサーとしては、今年のコーヒーはいかがですか。

Mr.ウリベ:今年は長雨がつづいて一部地域で影響がでていますが、コロンビア全体としては例年並でしょう。雨が多いと土壌に栄養がいきわたるので、長期的に見て大きな問題ではないと思います。

 

農業アドバイザーの仕事

— 農業アドバイザーとは具体的にどんなことをされているのですか。

Mr.ウリベ:常にカフェテロに寄り添い励まし、技術的、社会的、経済的にも手助けをする教育家係りのような役目です。全国1200人の農業アドバイザーが1人1地域500世帯ぐらいを担当し、きめ細かく一軒一軒を回って助言を行います。

— かなりの経験と知識が必要な仕事のようですが。

Mr.ウリベ:そうです。専門の農業技術の勉強をしたうえ、経済や社会の仕組みにも精通していなければなれません。現場にでてからも国立コーヒー研究所から日々アップデートされる情報を学ぶために、年2回、4〜5ヶ月の間毎日2〜3時間ビデオ講習を受けます。そのように常に知識のブラッシュアップが必要な仕事

TV番組「ジャルーモ先生の冒険」収録風景

TV番組「ジャルーモ先生の冒険」収録風景

です。

Mr.モントーヤ:我々カフェテロにとっては有益な情報を与えてくれる有難い存在です。

Mr.ウリベ:カフェテロにコーヒー生産上の大切な情報を伝えるテレビ番組があります。「ジャルーモ先生の冒険」という番組で、私は23年間そのパーソナリティをつづけています。

— 番組で最近はどんなことを伝えていますか。

Mr.ウリベ:今は大部分の地域で収穫時期に入っていますので、熟した赤い実だけを摘むことの注意点、洗浄や乾燥に関するポイントなどを伝えています。基本は必要な世話を適宜、きめ細やかに行うこと。その指導を徹底しています。近年は農薬や肥料の種類や使い方をはじめ様々な視点から、環境を破壊しないコーヒー生産ということに重点がおかれるようになりました。
農業アドバイザーには他に、消費国の希望を生産者に伝えるという役割があります。

Mr.モントーヤ:生産者にとって消費国はあまりにも遠い存在ですが、FNCが消費国の要求を伝えてくれますので、それを品質に反映できます。FNCのアドバイスにしたがっていればコーヒーが売れるので、こんな有難いことはありません。そういう意味でFNCと農業アドバイザーは生産者にとってなくてはならない存在なのです。

Mr.ウリベ:私もFNCで農業アドバイザーとして働いていることを誇りに思います。

— お2人にとって日本の消費者はどんな存在ですか。

Mr.ウリベ:品質を正当に評価してくれてお金も払ってくれる、自然環境の保持にも理解を示してくれる、コロンビアにとって有難く大切な消費者です。

Mr.モントーヤ:自分たちのコーヒーが評価されているのを何より嬉しく感じます。

※ジャルーモとはコロンビアのコーヒー農園によく生えている木で、
農民・農家にとっての癒し・道しるべ、自然保護などのイメージをこめた名前が「ジャルーモ先生」。

 

すべてが時間通り進む日本にびっくり

— 初めての日本でお2人の印象はいかがですか。

Mr.ウリベ:人が温かく親しみがもてて、町が清潔。日本の食べ物もサケも楽しみ、日本的眠り方(布団のこと?)も体験しました。

Mr.モントーヤ:みんな優しく、何もかも正確。聞いていた通り、何もかも時間通り進むのが素晴らしく本当に驚きました。

Mr.ウリベ:コロンビアのコーヒー農民は日本人に似て責任感が強く、約束を守り、勤勉でよく働きます。我々はチームとしてコーヒー生産に日々努力をつづけていますが、日本の消費者とも関係を深めて、コロンビアのコーヒーをもっともっと飲んでもらいたいものです。

Image3Mr.モントーヤ:私たち農家もより良いコーヒーを作りたいと願っています。
コーヒー農民は大変な仕事です。雨が降ればビショ濡れになって草取りをしなければならないし、毎日の労働は軽いものではありません。それでも私は死ぬまでコーヒーを作りつづけたいし、自分たちが作ったコーヒーを自分たちで炒って家族揃って飲む、こんな幸せはないと思います。そして、日本のみなさんにコロンビアのコーヒーを美味しく飲んでいただけたら最高です。

Mr.ウリベ:ともかく私たちは全身全霊を込めてコーヒーを作っています。
そうやってできたコーヒー豆のなかから選んだトップの1パーセントをエメラルドマウンテンとして日本に届けています。皆さんがエメラルドマウンテンを飲むとき、私たちがコーヒーへ注いでいる愛と熱意を感じていただけたら嬉しいです。

この記事は、2009年〜2011年の間に公開された記事のバックナンバーです。表示されているゲストの方の所属や肩書きは、掲載当時のものです。また、コロンビア産コーヒーに対するエメラルドマウンテンの割合も、その時の収穫量などにより、1%と表示されていることがあります。