20141201
煎りたて珈房 ディーズ
ダートコーヒー株式会社 中西さん
今月は石川県金沢市にある「煎りたて珈房 ディーズ」さんにお邪魔しました。ディーズを運営されているダートコーヒー株式会社は今年で創業70周年を迎えられました。今回インタビューに応じて下さるのは、ダートコーヒー本社の中西さん。中西さんは9年前に煎りたて珈房 ディーズの店舗立ち上げを担当され、最近では70周年記念の復刻版コーヒーのための豆を探しにブラジルへ行かれていたとのこと。面白いお話がたくさん伺えそうです。
生豆を選び、その場で焙煎する
世界に一つだけのこだわりコーヒー
- 金沢というと古い町並みというイメージだったのですが、駅前はとても近代的で、道路も広々としていますね。素晴らしいなと思ったのは、ひがし茶屋街から兼六園、金沢城跡、21世紀美術館に武家屋敷跡と、市内に名所がたくさんあって、気軽にバスで周れるところです。これは散策が楽しいですね!
モダンなものと伝統的なものが混ざり合っていて、魅力がありますよね。金沢は美味しい魚とお酒が自慢で、日本3大銘菓と呼ばれる和菓子でも有名です。昔から食にこだわるお土地柄なのですが、同時に全国有数のコーヒー文化の盛んな街でもあります。
こちらのお店は、もともとダートコーヒーの金沢支店だった敷地に建てたものですが、金沢支店は喫茶店ブーム最盛期を支える重要な拠点でした。
-そうなのですね。モダンといえばこちらの建物も、明るく開放感があって、とても素敵です。
ありがとうございます。出来たのは平成17年なので少し前のことになりますが、金沢都市美文化賞や石川建築賞をいただいたりもしているんですよ。
-それも納得のお洒落さです。中西さんは、こちらのお店の立ち上げをされたと伺いましたが。
はい。ディーズは世界中から厳選してきた生豆を、ご注文ごとに焙煎するというのが特徴のお店です。
一般的にコーヒー販売というと、自分のお店の焙煎を気に入ってもらい、買っていただくというのが普通です。焙煎する前の原料のことまで考えると、例えばエメラルドマウンテンという生豆は、他のお店に行っても同じエメラルドマウンテンですが、それを「ダートコーヒーならどう焙煎するか」というところがお店の味になっているわけです。
ディーズでは、この「焙煎」の段階からお客様の好みを反映できます。焼きたてで新鮮、そして世界に一つしか無い「あなただけのスペシャルオリジナルコーヒー」を作って、楽しんで頂けます。そして我々スタッフはそのこだわりのお手伝いをさせて頂くというコンセプトなのです。
- 自分専用の焼き具合にその場で焙煎してくれるというお店は、金沢市内ではこちらだけですか?
市内はもちろんですが、北陸でも珍しいと思います。そのため休日の午後などは、富山県や福井県などの遠方からもたくさんご来店下さいます。コーヒーに徹底的にこだわるお店には、やはりこだわりを持つお客様がお越し下さるのだなと感じています。
- ところで、ディーズというお店の名前には、どういった意味が込められているのでしょうか。
店名ですか。これは社内公募で決めたものなのです。ダートコーヒー(Dart Coffee)の頭文字Dを取って「D’s」。ディーズコーヒーとなりました。
- 言われてみれば!ディーズとはD’sのことだったのですね。
コーヒーが栽培されて、カップに入るまで。
全工程を突き詰めたら「世界がつながる」感動が。
- ダートコーヒーさんのホームページで「中西部長の産地訪問」という連載を拝読しました。中西さんは元々買い付けなどを目指されていたのですか?
ご覧いただきましたか(笑)ダートコーヒーに入社してからもう30年以上になりますが、はじめは喫茶店やお店にコーヒーを卸す営業をしていました。そのころの私にとっては、コーヒーと言えば、茶色い姿をしているものでした。 だんだんとお客様と深く接するようになり、クレーム等の対応のために製造工場へ行く機会があったのですが、そこでコーヒーがもともと緑色をしていたことを知りました。
やはり営業として、何かあった場合にお客様にきちんと説明したいと思ったら、まずは自分が知らないと答えが出せないと思ったのがきっかけで製造過程を学ぶようになり、その先には原料の買い付けも学ばなければと、必死でやっているうちに・・・
- 今では、商品を企画し、豆を買い付け、販売するところまで全体を手がけておられるのですね(笑)
この仕事を通じて、生産地で育ったコーヒーが輸入され、焙煎され、喫茶店で提供されるという一連の現場に立ち会う経験をさせていただきました。そこから「コーヒー」というキーワードで世界がつながるような感覚を覚えました。
生産地の農園ではコーヒーといえば栽培している木の事でしょう。生豆を扱う輸出入業の方にとっては緑色の生豆、私たちコーヒー屋やスーパーの店頭では焙煎した茶色のコーヒー、飲食店や消費者にとってはコーヒーは黒い液体です。
それぞれの立場で頭に思い描くコーヒー像は違いますが、世界がコーヒーというキーワードでひとつになれる。こんな不思議な飲み物は他にあるでしょうか。
70年前のレシピを徹底研究した「ダート復刻版珈琲」
ブラジルで出会った素晴らしい豆とは。
- ダートコーヒーさんは、今年創業70周年を迎えられたそうで、本当におめでとうございます。創業1945年というと、ちょうど終戦の年ではないでしょうか。
はい。終戦間もないころ満州から帰国した創業者が、ダートコーヒーの前身である岡田屋を開きました。今のように手軽にコーヒーが飲める時代ではなく、非常に貴重な飲み物だったと思います。
実は私が先日ブラジルへ行っていたのは、この70周年記念のために企画された「ダート復刻版珈琲」に使う豆を探すというミッションのためでもありました。
- これだ!と思う豆には、出会えたのでしょうか。
いやもう、本当に味が良くてスパイシーな風味を持つ素晴らしい豆に出会うことが出来ました。ブラジル最大のイパネマ農園の中にあるリオ・ベルデという山岳エリアの、馬で入っていくしかないような急斜面で栽培されているコーヒーです。ブラジルのコーヒー畑は平らで広大な土地にコーヒーの木を植えて、効率的に管理されている農園が多いのですが、リオ・ベルデは斜面がすごいので機械が入れず、手摘みで収穫するのです。
このイパネマ農園リオ・ベルデエリアのコーヒーを、創業70周年のアニバーサリーブレンドのために弊社専用の麻袋で仕入れました。これを使った「ダート復刻版珈琲」は創業当時のレシピを徹底調査し、現代の最新鋭の焙煎機にて再現しています。
- 山岳地帯で機械が入れず、手摘みで収穫するというあたり、コロンビアの農園と同じで、非常に親しみを感じます。
一年を通じて安定した美味しさのエメラルドマウンテン
コロンビアのコーヒーは一年を通じて色々な地区で収穫され、いろんな味わいが楽しめるところが面白いですよね。その中でエメラルドマウンテンは一年を通じて安定した香り、キレ、ボディを感じさせる味わいが楽しめるコーヒーです。そのボディ感とキレの良さを生かす焙煎と抽出が大切なのですが、やはり材料が同じエメラルドマウンテンでも焙煎度合いが異なるとその抽出液のコーヒーの味は違って感じられます。お客様一人一人の美味しいポイントを教えて頂き、こまかく仕上がりをカスタマイズできるところは、煎りたて珈房ディーズならではだと思います。
- コーヒーへの徹底的なこだわりにとことん付き合ってくれるお店なのですね。
では中西さん、最後に、エメラルドマウンテンと合わせたいスイーツがあれば、ご紹介いただけますか。
ザ・コロンビアともいえるエメラルドマウンテンには当社の「金澤珈琲ばうむ」をお勧めします。このバウムには生地に石焼コーヒーの微粉末を直接練り込み、同じくコーヒーを練り込んだほろ苦いコーヒーチョコレートをかけてあります。金沢らしく金箔をちりばめてあるところも、黄金のコロンビアを彷彿させますよね。
- 金箔ですか!エメラルドマウンテンの贅沢な味わいに、ぴったりですね。
煎りたて珈房 ディーズ
住所 | 〒920-0866 石川県金沢市中央通町20番14号 |
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営業時間 | AM10:00~PM8:00 |
定休日 | 月1回(不定休) |
電話番号 | 076-222-1333 |
FAX番号 | 076-222-1333 |
最寄り駅 | JR金沢駅 徒歩20分 |
駐車場 | 有 15台 |
公式サイト | http://www.dartcoffee.co.jp/d-s/ |
中西さんが連載されているコーヒーのまめ知識の記事が、面白くてためになるのでご紹介させていただきます。編集部も仕事を忘れてフムフム・・・。
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