20150201
珈琲の遠山
遠山珈琲 代表取締役 遠山克利さん
ショップ探訪は、千葉県白井市にある遠山珈琲さんです。白井市は梨の産地として有名で、道ゆけば次々と梨の直売所が現れます。周辺はそれほど賑やかではありませんが、お店が開店するなり続々とお客様入って来られます。どうしてそんなことが可能なのでしょう。
遠山社長にお話を伺います。
「遠山さん、本当に大丈夫ですか」と心配された立地に
続々とお客様が通われる、納得の理由とは。

▲30年前、周りは畑だったという白井。広い駐車場にはひっきりなしに車が出入りする。
- もともとコーヒー業界にお勤めだったそうですが、独立して遠山珈琲を始める事になったきっかけは何だったのでしょうか。
そうですね、昭和50年代、コーヒー豆の種類は今よりもっとざっくりした枠組みで分かれていました。コロンビアならスプレモ、エクセルソ。ブラジルならNo.2など国によって数種類ほどです。でも、日本のお茶と同じように、産地やグレードなど細かく指定すると美味しいものが手に入ると分かっていたので、そういう豆を仕入れたいと考えていました。

▲コーヒーの生豆が袋で積み上げられる様子は、まさに昔のお米屋さんのよう。
- ひとつの産地・農園のコーヒーを、他の豆と混ぜないで飲むという、最近のコーヒー業界のトレンドを先取りしているようですね。
いえいえ、私だけではなくコーヒーにこだわる会社さんは、同じころ産地・農園の分かれたコーヒーを仕入れ始めておられましたよ。
お米と同じです。「日本でとれた美味しいお米です」と言うのと「新潟の魚沼産コシヒカリです」と言われるのとどちらが美味しそうで、買いたくなりますか?
- うーん、魚沼産コシヒカリでしょうか。
やっぱりそうでしょう。産地別のコーヒー豆への思いはずっとありましたが、長年勤めた会社を辞めるのは一大決心です。背中を押してくれたのは、よみうり文化センターから喫茶店経営希望者のためのコーヒー教室の講師として招かれたことでした。担当する教室の数も増えて忙しくなってきて、さらにこれから喫茶店を開くという生徒さん達から「美味しいコーヒー豆を手に入れたい」という相談も増えてきて・・・。
- なるほど!コーヒー教室の生徒さん達に美味しいコーヒーを「業務用卸し」されたのですね。
そうです。初めはコーヒー豆製造卸会社でした。皆様のお陰で、いつのまにか現在のような大型珈琲専門店になっていました。
- こちらのお店は、今も卸屋さんのような雰囲気ですよね。

▲焙煎工場とお店が一体化している。
以前勤めていた会社の焙煎工場には、店構えもお客様用の入り口も無いのに、コーヒー豆を分けて欲しいという方が沢山来られていました。工場のコーヒなら間違いなく煎りたてだと、お客様はご存知だったのですね。 だから、売り場と焙煎工場が一体化しているというのは、大切なポイントです。
私どもの店では業務用の豆を扱っているので、大量に仕入れます。そうすると同じグレードの豆でもかなりお買い得になります。美味しいコーヒーを毎日飲んでいただきたいので、「他では100gいくらで売っている」と分かっていても、正直に、利益が出せるぎりぎりの価格で出しています。
- 失礼ながらこの場所で、どうして次々とお客様が来られるのだろうと不思議に思っておりました。でも、煎りたての美味しいコーヒーがお買い得に手に入るなら、わざわざ買いに来たくなるのも分かります。
独立したての頃は、お取引先の営業さんにも心配されたほどでした。
「遠山さん、本当に大丈夫ですか?」ってね。30年前の白井は本当に畑しかなかったもので(笑)

▲広い店内に所狭しと食品やコーヒー豆・コーヒー器具が並ぶ。レジのすぐ裏は焙煎工場になっていて、まさに「工場直売」の雰囲気。
振り返ればコーヒーの素晴らしさを
教え、伝え続けてきた人生

▲本当に美味しいコーヒーを知ってほしい、と続けている地域のコーヒー教室。
- 平日は特にお忙しそうですね。この取材も、時間の合間を縫って受けていただいたようで・・・。
いえいえ、千葉県全域で市や学校に呼ばれてコーヒー教室をやっておりまして、そうすると週に何回かは外出となってしまうのです。
- お話を伺っていると、コーヒーを教えるお仕事が多いようですね。

▲お店の裏手には温室があり、コーヒーの木を栽培している。実際に収穫も可能で、コーヒーがどうやって出来るのかを教えるには絶好の教材となる。(枝に実っているのがコーヒーの実)
元々は、ホテルに就職して喫茶カウンターの担当をしていたのですが、だんだんと喫茶店の皆さんに呼んでいただいて、技術的なことの指導もするようになりました。その関係でカフェーパウリスタという銀座の喫茶店の店長になった後、さらに十年以上は営業・企画部門に勤めましたが、確かによみうり文化センターの件からこの方、また教えるお仕事が多くなっていますね。
今はもう、プロを育てるということではなく、学校や市町村のコーヒー教室だけをお引き受けしています。本当に美味しいコーヒーを、もっと多くの方に知っていただきたいという気持ちだけで続けています。
- 講師に来て下さい!と色々な所から声がかかる理由、すごく良く分かります。何しろ話題が豊富で、お話に引き込まれます。
(記事には書ききれませんでしたが、取材中に色々な珍しいコーヒーを見せていただき、コーヒーの起源にまつわる面白い小話をたくさん聞かせて下さいました。)
エメラルドマウンテン誕生秘話?
コロンビアの会議で意見交換
- 遠山さんは、昭和63年にコロンビアで、
FNC(コロンビアコーヒー生産者連合会)の会議に参加されたと伺いました。
東日本コーヒー商工組合として、コロンビアコーヒーの会議に参加しました。その時は日本の他のロースターの皆様も参加されていて、私は主に小売の立場から意見を申し上げました。お客様に良いコーヒーを知っていただき、納得して買っていただく為には「ストーリーが大事」と伝えました。

▲生産国の文化や伝統を大切に表現したオリジナル商品も豊富。(写真奥:キャニスター缶)
その国のコーヒーを売るためには、その国を知っていただくしか無いのです。一杯のコーヒーがカップに入って出てくるまで、どんな国のどんな人が、どうやって作っているかを知ることで信頼が生まれます。
帰国後ほどなくして、エメラルドマウンテンが発売されました。FNCのコーヒー鑑定士が厳選した最高級の豆。やっぱりストーリーがありますよね。
- エメラルドマウンテンの味や品質に関しては、どのような感想をお持ちですか?
安定して良いコーヒーであること、これですね。農産物なので当然、年によってコーヒー豆の味は変わりますが、エメラルドマウンテンはどの年も良い状態です。欲を言えば、豆を鑑定した鑑定士さんの名前が袋に表示してあると良いですね!
- 例えばホセさんのエメラルドマウンテン、といった具合でしょうか(笑)
例の「コシヒカリより、魚沼産コシヒカリ」と同じ理論ですね。
最後に、遠山さんがこのお仕事で楽しいと思うことは何ですか?
コーヒーのことをマジックビーンズと呼ぶ方もおられます。同じ畑の同じ位置でも毎年できる豆が違ったり、飛行機で運ばれてきたサンプルが美味しかったから仕入れたけれど、コンテナで運ばれてみたら全然違う味になっていたりと、本当に色々あるんです。 焙煎、豆の挽き方、淹れる器具・・・。色んな条件が全部揃わないと「美味しいコーヒー」にならない。でも、そういう難しい部分こそが、コーヒーの面白いところなのだと思います。
それに加えて、お客様の味の好みによって求められる味も違います。難しいコーヒーの品質管理と合わせて、求められる味にプロとして応えていくという、この仕事そのものが楽しいです。
- コーヒーへの愛情がとても強く伝わってきます。ありがとうございました。

珈琲の遠山
住所 | 千葉県白井市根1889-6 |
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営業時間 | AM10:00〜PM7:00 |
定休日 | 毎月第3火曜日(※連休などにより変動がございます) |
電話番号 | 047-491-8440 |
FAX番号 | 047-491-4334 |
最寄り駅 | 北総線西白井駅から徒歩10分 |
駐車場 | 有り |
公式サイト | http://www.tcc-coffee.com |
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